■「一つの目標」

 韓国代表を率いるジム・ペク(Jim Paek)監督は、同国出身のプレーヤーとして初めて北米アイスホッケーリーグ(NHL)でスタンレーカップ(Stanley Cup)制覇を経験したことで知られている。元カナダ代表の同指揮官は、多文化のチームが猛スピードで滑りながらパスを出してゴールネットにパックをたたき込む中、英語と韓国語を交えて大きな声で指示を与えていた。

 幼少の頃に両親とともにカナダに移住したペク監督は、「どこの出身であろうと関係ない」とすると、「韓国代表のアイスホッケーチームとして、今は全員が一つの目標に向かっている」と話した。

 カナダのようなアイスホッケー強豪国では、NHLのトップ選手が代表の座を数か月にわたって争ったあとのロスター発表は大々的なイベントと化している。

 カナダ生まれのゴールテンダー、マット・ダルトン(Matt Dalton)は、かつてNHLのボストン・ブルーインズ(Boston Bruins)でリザーブの控えにとどまり、五輪に出場するチャンスはこれまで一度も恵まれていない。

 しかし、3年前に韓国の代理人がロシアのチームとの契約が終了したダルトンに接触し、これまでより高い給料と安定した仕事に加え、五輪でゴールを守れるチャンスをオファーした。

 ダルトンは、「もし受けていなかったら、他の誰かがチャンスをつかんでいただろう。そのことを悔やみたくなかった」と明かした。