【3月12日 AFP】シリア首都ダマスカス(Damascus)で11日、イスラム教シーア派(Shiite)巡礼者を狙った2件の爆弾攻撃が発生し、59人が死亡した。死者の大半はイラク人で、シリアの首都で起きた攻撃としては近年で最悪のものの一つとなった。

 同国のバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が掌握するダマスカスでは これまでにも断続的に爆弾攻撃が発生していたが、6年間続いているシリア内戦による被害をおおむね逃れてきた。

 在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、11日の攻撃はシーア派の霊廟(れいびょう)が数か所あり、世界中から同派の信徒が集まる同市のバブアルサギル(Bab al-Saghir)地区で発生。1発目はバスが通り過ぎた際に道端に仕掛けられた爆弾が爆発し、2発は自爆攻撃だった。

 シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表によると、死者59人のうち47人は巡礼者で12人はシリア政府軍寄りの戦闘員だという。死亡した巡礼者の大半はシーア派のイラク人だった。同代表は「他にも数十人の負傷者が出ており、重傷者もいる」と述べた。

 シリアの国営テレビ局は「テロリストが2発の爆弾を爆発させ」、40人が死亡し、120人が負傷したと報じ、窓が破壊された白いバス数台の映像を放送した。バスの中には爆弾の金属片を浴び、かなり焼け焦げたものもあった。

 シリアのムハンマド・シャアール(Mohammad Shaa)内相は、攻撃が「アラブ諸国から訪れた巡礼者」を狙った犯行であり、「目的は(巡礼者を)殺害することのみだった」と述べた。

 イラク外務省は、死傷者のうち死者40人と負傷者120人がイラク人だったと発表した。

 目撃者がAFPに語ったところによると、最初の爆発が起きて通行人が現場に集まった時に2回目の爆発が起きたという。またシリア国営テレビ局は、現場近くで爆弾が仕掛けられたオートバイが見つかり、不発処理されたと報じた。今回の事件に関する犯行声明は今のところ出されていない。(c)AFP/Rim Haddad