【3月9日 AFP】米中央情報局(CIA)がハッキングツールを多数開発しているとする文書を内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が公開したことについて、CIAは8日、米国民を危険にさらし、米国の敵対勢力を利し、米政府によるテロの脅威との戦いを妨害するものだと非難した。米連邦捜査局(FBI)は今回の情報流出について犯罪事件としての捜査に動き始めた。

 ウィキリークスは7日、CIAから流出したとする9000件近い文書を公開。その中には、CIAが個人の電子機器に侵入して乗っ取るさまざまなマルウエア(悪意のあるソフトウエア)を作成しているとする内容も含まれている。

 CIAのヘザー・フリッツ・ホーニアク(Heather Fritz Horniak)報道官は、文書が本物かどうかの確認はしない一方、「米国をテロリストや他の敵対勢力から守る情報機関の能力にダメージを与えることを狙ったウィキリークスによる文書公開は、どのようなものであれ、米国民に多大な不利益を与える」と指摘。

「こうした文書公開は米国の国民や活動を危険にさらすだけでなく、敵対勢力に対してわれわれに危害を加える道具や情報を与えてしまう」と非難した。

 ホーニアク報道官は「米国を国外の敵対勢力から守るため、革新的であり、最新技術を駆使し、防衛の最前線にいることがCIAの任務だ」述べ、CIAによるサイバー活動の必要性を強調した。

 さらに、こうした活動は米国民を標的にしたものではないとも言及した。CIAは米国内の人や国外の米国人に対するスパイ行為を禁じられている。

 大半の専門家は今回公開された文書は本物とみている。米メディアによるとFBIは捜査開始の準備に入り、CIA内部の密告者やスパイの摘発に乗り出す可能性もある。(c)AFP