【3月4日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の側近とロシアとのつながりが相次いで発覚し、トランプ氏の議会演説で高評価を受けていた米政権は3日、一転して攻勢への逆戻りを強いられた。

 米国では昨年11月の大統領選をめぐり、ロシア政府がトランプ氏を当選させるための介入を試みたとの調査結果を米情報当局が公表するという前代未聞の措置が取られて以降、トランプ陣営がロシア政府と共謀していたという疑惑が渦巻き続けている。

 トランプ氏の腹心であるジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官は、上院の公聴会で「ロシア人と接触したことはない」と証言していたが、実際には就任前に駐米ロシア大使と2度にわたって面会していた事実がメディア報道により発覚。

 野党・民主党からはセッションズ長官の辞任と偽証罪での捜査を求める声が上がり、同長官はロシア関連の調査への関与辞退を強いられた。一方のトランプ大統領は、ロシアとの関係をめぐる民主党の追及は「魔女狩り」だと非難。セッションズ氏を全面的に信頼していると述べている。

 トランプ大統領はロシアとの個人的関係を繰り返し否定しており、側近らもロシア当局者との接触を否定したり、重大な問題ではないと一蹴したりしている。

 だがここにきて新たに、セッションズ長官や、国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任されたマイケル・フリン(Michael Flynn)氏の他にも、複数の政権幹部がトランプ氏の就任前にセルゲイ・キスリャク(Sergey Kislyak)駐米ロシア大使と面会していた事実が明らかになった。

 米メディアによると、顧問のJ・D・ゴードン(J.D. Gordon)氏とカーター・ペイジ(Carter Page)氏がキスリャク大使と面会していた他、昨年12月にはトランプ氏の娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏がフリン氏と共にニューヨーク(New York)のトランプ・タワー(Trump Tower)で同大使と面会していた。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、セッションズ氏がキスリャク大使と面会したのはそれよりずっと前の昨年7月と9月で、ロシアの選挙介入疑惑が大きく取り沙汰されていた最中のことだった。

 当局によると、米情報当局と連邦捜査局(FBI)は、ロシア政府が米国の内政に介入した具体的な方法と規模について捜査を続けている。米議会では4つの委員会が調査を開始したが、民主党は、共和党が発足間もないトランプ政権を保護するために調査を闇に葬ろうと試みるのではないかと危惧している。(c)AFP