【2月27日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)の「ドルビー・シアター(Dolby Theatre)」で26日に開催された第89回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で、これまで20回ノミネートされながら一度も受賞がかなわなかった録音技術者が、21回目にしてついにオスカーを手にした。

 アカデミー賞録音賞を受賞したのはメル・ギブソン(Mel Gibson)監督の作品『ハクソー・リッジ(Hacksaw Ridge)』に携わったケビン・オコンネル(Kevin O'Connell)氏。足かけ33年で21回ノミネートされたオコンネル氏は、自身の名前が呼ばれた際に驚いたような表情をみせた。

 他の受賞者3人と壇上に上がったオコンネル氏は「39年前、私に音響の仕事を与えてくれた私の母、スキッピー・オコンネル(Skippy O'Connell)に特別な感謝をささげたい」と述べ、母親とのエピソードを披露。「母親に尋ねたことがあるんだ。『どうやったらお母さんにお礼できるかな?』ってね。彼女は僕を見て、こう言ったんだ。『お礼する方法を教えてあげるわ。一生懸命働いて、本当に一生懸命働いて、そしていつか、オスカーをもらってステージに上がったら、全世界の前で私にお礼が言えるでしょう』ってね」

 オコンネル氏はこれまで『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(The Empire Strikes Back)』や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(Raiders of the Lost Ark)』といった大作から、『愛と追憶の日々(Terms of Endearment)』や『SAYURI(Memoirs of a Geisha)』といったヒューマンドラマまで、幅広い作品に携わっている。同氏は報道陣に対し、21回目にして初めてオスカー像を手にした気持ちを「自分の全人生において最高の気分」だと語った。

 『ハクソー・リッジ』は第2次世界大戦(World War II)をテーマにした戦争映画で、ユダヤ人や同性愛者に対する中傷で非難を浴びたギブソン監督が、およそ10年ぶりにハリウッドへ本格復帰した作品としても注目を集めた。同作品は録音賞の他、編集賞も受賞した。(c)AFP