【2月27日 AFP】米フィラデルフィア(Philadelphia)のユダヤ人墓地で26日、500基を超える墓石が何者かに破壊されたり倒されているのが見つかった。警察が捜査を行っている。米国では各地のユダヤ教関連施設に対し、爆破の脅迫や器物損壊などの嫌がらせが相次いでいる。

 フィラデルフィアの地元メディアが26日報じたところによると、被害を受けた墓地では数百基の墓石が真っ二つに割られていた。中には100年以上古い墓もあるという。

 米ABCテレビの系列局WPVIは、地元のユダヤ教指導者(ラビ)の話として、被害を受けたのはフィラデルフィア北東部ウィッシノミング(Wissinoming)地区にある歴史的な「マウント・カーメル・ユダヤ(Mount Carmel Jewish)」墓地で、クエーカー教徒(Quaker)やイスラム教徒(Muslim)の墓も被害を受けたと伝えた。

 26日に父親の墓参に訪れた男性が、墓石が破壊されているのに気付いたという。

 反ユダヤ主義を監視する団体「名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League)」は、容疑者逮捕につながる情報の提供者に1万ドル(約112万円)の報奨金を出すと発表した。

 米国では先週、ミズーリ(Missouri)州セントルイス(St. Louis)にあるユダヤ人墓地で墓石100基以上が倒されているのが見つかったばかり。また、ニューヨーク(New York)州バッファロー(Buffalo)ではこの週末、車や陸橋、建物の壁、小学校の校庭などにナチス・ドイツ(Nazi)のシンボルである「かぎ十字」が落書きされたと地元メディアが伝えている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は21日、数日間の沈黙の後に全米のユダヤ人施設に対する反ユダヤ主義の脅迫を「恐ろしく」「痛ましい」と非難した。しかし、スティーブ・バノン(Steve Bannon)首席戦略官がかつて率いた保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース(Breitbart News)」を牙城とする白人至上主義団体や右派勢力「オルト・ライト」(オルタナ右翼)がトランプ氏を礼賛していることに懸念が高まっている。(c)AFP