■内戦時の盟友が敵対──現大統領と元副大統領

 今でこそ対立している南スーダンのキール現大統領とリヤク・マシャール(Riek Machar)前副大統領は、かつてスーダン政府への反乱においては南部独立という共通の志で結ばれた盟友だった。しかし、部族関係や政治的な面では確執もあった。

 スーダンの第2次内戦中、ヌエル(Nuer)人のマシャール氏は当時反政府組織だったスーダン人民解放軍(SPLA)に合流したが、その時点までSPLA構成員の大半を占めていたのは、キール氏と同じディンカ(Dinka)人だった。

 マシャール氏はSPLA指導者のギャラン大佐やその支持者ら(キール氏もその一人だった)と反目して分派を作り、一時ハルツームの中央政府と同盟したが、2000年代初期にSPLAに再合流した。南部スーダンに大幅な自治が認められた2005年と南スーダンが独立を果たした後の2011年7月の計2回、キール氏はマシャール氏を副大統領に指名した。

■大量虐殺の懸念

 2013年12月、新たに生まれた国、南スーダンは内戦に突入していった。キール氏とマシャール氏の対立により亀裂が生じた政府軍内で衝突が生じたことがきっかけだった。2015年8月にいったんは和平協定が結ばれたが、2016年7月に南スーダンの首都ジュバ(Juba)で戦闘が発生して和平協定は破綻した。

 国連(UN)は2016年、南スーダンで性暴力や民族間抗争が猛威を振るっていると指摘し、ジェノサイド(大量虐殺)や民族浄化が行われている可能性を警告した。

■荒廃した経済

 5年半前の独立時、南スーダンの歳入の98%を占めていた石油生産は今や半分以下に減り、国は激しいインフレに苦闘している。南スーダンは独立前の旧スーダンの石油埋蔵量の4分の3を受け継いだが、石油を輸出する際には精製所やパイプラインなどのインフラを北側の隣国となったスーダンに依存しているのが現状だ。(c)AFP