【2月21日 AFP】めったにインタビューに応じないカナダ・トロント(Toronto)出身の歌手ドレイク(Drake)が19日、米アップル(Apple)の定額音楽配信サービス「Apple Music(アップルミュージック)」のラジオ「ビーツ1(Beats 1)」に出演し、自身が黒人であることを理由にラッパーというカテゴリーに押し込められたとしてグラミー賞(Grammy Awards)への批判を展開した。

 今月12日に米ロサンゼルス(Los Angeles)で開催されたグラミー賞授賞式では「ホットライン・ブリング(Hotline Bling)」で最優秀ラップ・ソング賞と最優秀ラップ/サング・パフォーマンス賞を獲得したドレイク。この日放送された、英国人DJ、セムテックス(Semtex)によるインタビューでは、音楽ストリーミングサービス世界最大手の「スポティファイ(Spotify)」で昨年最も配信回数が多かった自身の楽曲「ワンダンス(One Dance)」がノミネートを見送られたことに失望を表した。

 グラミー賞についてドレイクは、「黒人アーティストだからぼくはラッパーということらしい。『ホットライン・ブリング』はラップじゃないのに」「彼らにとって、ぼくを当てはめられる唯一のカテゴリーがラップ部門なんだろう。過去にラップをやっていたとか、ぼくが黒人だからとか、おそらくそういう理由で」と語った。

 ヒップホップの世界で一躍有名になったドレイクは、メガヒットを記録した自身の数々の楽曲については「ポップソングだよ。でもポップソングとして認められたことは一度もない」と説明。さらに、「ぼくはマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)みたいになりたい。自分が尊敬するアーティストたちみたいになりたいんだ」と続け、「(グラミー)賞を2つもらったけど、欲しくはない。変な気がするから」と語っている。ドレイクは欧州ツアーの最中だったこともあり、授賞式には出席しなかった。

 国際レコード産業連盟(IFPI)によると、ドレイクの昨年のセールス売上は世界一で、アルバム「ヴューズ(Views)」はグラミー賞で最も栄誉ある「年間最優秀アルバム」にもノミネートされていた。しかし、同賞を受賞したのは、3度目のノミネートを果たしたビヨンセ(Beyonce)の先鋭的なアルバム「レモネード(Lemonade)」ではなく、英歌手アデル(Adele)の大ヒットアルバム「25」だったため、グラミー賞の選考には人種的な偏見があるとする一部の批判が再燃している。(c)AFP