【2月21日 AFP】セルビア・スーペルーリーガのパルチザン・ベオグラード(Partizan Belgrade)は20日、ブラジル出身のエべルトン・ルイス(Everton Luiz)について「ファンの心を勝ち取った」選手だと強調し、試合中に人種差別的な扱いを受けたことを「強く非難」する声明を発表した。

 28歳のルイスは先日行われたリーグ戦で、地元のライバルチームであるFKラド(FK Rad)のファンから侮蔑的な言葉の大合唱を浴びせられ、涙を流したと伝えられた。この試合では、一部のファンがルイスを侮辱するようなバナーを振りかざして、一時中断する場面もあった。

 昨季のセルビア・カップ(Serbian Cup)を制したパルチザンは、公式ウェブサイトに発表した声明で、「この愚かな行為をした人間を強く非難する」とすると、「人種差別的なチャントで侮辱され、傷ついたすべての人々に対し、パルチザンとして謝罪する義務を感じている。われわれは、クラブで最高の選手の一人であるエベルトンを全面的にサポートする。彼は昨年、セルビアでファンの心を勝ち取った」と述べた。

 この問題を受けて、リーグ責任者のブラディミール・ブラトビッチ(Vladimir Bulatovic)氏は20日、「ラドのファンによる無礼な行為と、当該選手に対する人種差別的な発言に関して、セルビアサッカー協会(FSS)の規律部門が最終判断を下すまで」ラドのホームスタジアムを一時的に閉鎖すると発表。「これと同時に、今回の事件に関わったラド及びすべての個人について、FSSの規律委員会に告発文を提出した」としている。

 当日の中継映像では、試合終了の笛が吹かれるとルイスがラドのファンに向かって指を立てるジェスチャーをみせ、一触即発の雰囲気を制止するために警察官が投入される様子や、同選手がロッカールームへ引き上げる際に涙を浮かべていた姿が映し出されていた。(c)AFP