【2月20日 AFP】米歌手ジェームス・ブラウン(James Brown)のドラマーだったクライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield)さんが18日、死去した。73歳だった。ファンクを象徴するドラマーの一人で、その演奏はヒップホップの楽曲などで繰り返しサンプリングされ続けている。

 米ウィスコンシン(Wisconsin)州マディソン(Madison)のスタブルフィールドさんの自宅で一緒に演奏していたというドラマー仲間のジョーイ・バンクス(Joey Banks)さんによると死因は腎不全だった。

 独学でドラムを学んだスタブルフィールドさんは、1965年にブラウンのバンドに参加。1970年の楽曲「Funky Drummer」のドラムブレークで一躍有名になった。

 そのステディーでダンサブルな数小節はその後、ヒップホップの楽曲に影響を与え、音楽史上最もサンプリングされたドラムブレークの一つとなった。

 このドラムブレークを取り入れた楽曲には、パブリック・エナミー(Public Enemy)の「Fight the Power」、N.W.A.の「Fuck tha Police」、LL Cool Jの「Mama Said Knock You Out」などがある。

 またヒップホップにとどまらず、ジョージ・マイケル(George Michael)のヒット曲「Freedom! '90」や日本の音楽グループ、ピチカート・ファイヴ(Pizzicato Five)の「Baby Love Child」などでもサンプリングされている。

 サンプリングに関しては、著作権法に関する2005年の米裁判判決で元の音源の利用が違法とされた。ただ、当時の演奏に関しては、作曲者としてブラウンのみがクレジットされていたため、その使用料がスタブルフィールドさんに支払われることはない。

 このサンプリングを取り巻く状況について、2009年のドキュメンタリーでは、ミュージシャンの誰からも感謝の言葉、さらには挨拶もされたことがないと話していた。

 そのため、経済状況は長年不安定だったようだ。ブラウンのバンド脱退後の1971年、大学都市で知られるマディソンに移り住んだスタブルフィールドさんは、ここで毎週ライブ演奏をしていた。

 膀胱がんを患った際には、昨年死去したプリンス(Prince)さんが治療費として8万ドル(約900万円)をひそかに寄付していた。プリンスさん死去後に明らかになった。プリンスさんはスタブルフィールドさんのファンであることを公言していた。

 スタブルフィールドさんのドラムは、ブラウンの代表作「Say It Loud I'm Black and Proud」や「Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine」などでも聞くことができる。(c)AFP