【2月18日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏がマレーシアで暗殺された事件をめぐり逮捕されたインドネシア人の女について、インドネシア当局は17日、人々にいたずらを仕掛けるテレビ番組に出演中であると思い込まされて犯行に及んだとの見方を示した。

 正男氏は13日、マレーシアの空港で殺害された。マレーシア警察によると、マカオ(Macau)行き航空機に搭乗しようとしていた正男氏は、女2人に襲われ、口の中に何らかの液体を噴射された。韓国政府は、実行犯は北朝鮮政府の工作員の女だったとの見解を示している。

 だがインドネシアのティト・カルナビアン(Tito Karnavian)国家警察長官は、事件に関連し逮捕された容疑者3人のうちの一人であるインドネシア人のシティ・アイシャ(Siti Aishah)容疑者(25)について、隠しカメラでいたずらの様子を撮影する「ドッキリ番組」に出演していたと思い込まされていたと述べた。

 カルナビアン長官は同国メディアに対し、アイシャ容疑者は過去にも3、4回にわたり、金銭と引き換えに人の目に向けて液体を噴射するいたずらを別の女性と共に仕掛けた経験があったと説明。正男氏を標的とした依頼では、「有害な物質」が使われたと述べた。

 また、インドネシアのユスフ・カラ(Jusuf Kalla)副大統領も、アイシャ容疑者は「だまされ、ゲームに参加していると思い込んでいた」と言明。「もし彼女が工作員なら、見つかることはなかっただろう」と述べた。

 アイシャ容疑者は、交際相手のマレーシア人の男(26)と、ベトナムのパスポートを所持していた女(28)に続いて逮捕された。インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)に住む同容疑者の家族や元隣人は17日、同容疑者が事件に関与していたとは信じ難いと証言している。

 アイシャ容疑者の元夫の父親(56)は、ニュースを聞き「ショックを受けた」といい、「あれほど人柄の良い人が、こんなことをするわけがない」と語った。また元隣人の女性(25)もAFPに対し、「彼女はいたって普通の人だったので、とてもショックを受けた。全く信じられなかった」と語った。(c)AFP