【2月17日 AFP】米国防総省は16日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に対して2015年に行った空爆のうち2回で、対戦車用の劣化ウラン弾を使用していたことを明らかにした。

 中東を管轄する米中央軍(US Central Command)のジョシュ・ジャック(Josh Jacques)報道官(少佐)によると、劣化ウラン弾が使用されたのは2015年11月16日と22日にA10攻撃機によって実施された、ISの石油タンクローリーの車列を標的とした空爆。計5265発の劣化ウラン弾が、焼夷(しょうい)弾と合わせて使用されたという。

 装甲車も貫通するほどの威力を持つ劣化ウラン弾を焼夷弾と組み合わせて使用したことについて、ジャック少佐は「違法に入手した石油を輸送していたISIS(ISの別称)の車列を、確実に破壊するため」だったと説明した。

 また「ISISを打倒する作戦計画においては、今後もあらゆる選択肢を視野に入れている」とジャック少佐は述べ、「これには劣化ウラン弾も含まれる」と付け加えた。

 劣化ウラン弾は、ウラン濃縮で核燃料を取り出した後に残った劣化ウランを利用した弾丸。威力が大きく、米軍はその性能を重視しているが、砲撃を担当する兵士や攻撃目標付近の民間人の健康に有害だとの危険性が指摘されている。国連環境計画(UNEP)は、劣化ウラン弾を「化学的見地からも放射線学的見地からも有毒な重金属」と評している。(c)AFP