【2月13日 AFP】ドイツの連邦会議は12日、新大統領にフランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)前外相(61)を選出した。シュタインマイヤー氏はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の差別的言動を強く非難したことがあり、地元メディアには「反トランプ」大統領の誕生と評されている。就任は来月19日。

 中道左派の社会民主党(SPD)出身のシュタインマイヤー氏はドイツで最も人気のある政治家で、旧東独出身のヨアヒム・ガウク(Joachim Gauck)大統領(77)の後任となる。ドイツの大統領は国家元首だが、権限は主に儀礼的、道徳的なものに限定される。任期は5年。

 シュタインマイヤー氏は受諾演説で、現在は多くの市民が世界の崩壊を恐れている「嵐の時代」にあるとの認識を示した上で、対話と民主主義を推進していく考えを表明。ポピュリズムの台頭や「困難を増す世界では解決策を単純にすべきと考える人たち」に対抗すると誓った。

 SPDは今年9月の連邦議会(下院)選挙に向けて、連立を組むキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の対抗馬となる首相候補にマルティン・シュルツ(Martin Schulz)前欧州議会(European Parliament)議長を擁立。シュタインマイヤー氏の大統領選出を党勢拡大につなげたい考えだ。

 新大統領人事をめぐっては、強力な独自候補に欠いたCDU/CSUがシュタインマイヤー氏への支持に回った。同氏は採決で有効投票1239票中931票を獲得した。

 シュタインマイヤー氏は昨年の米大統領選の期間中、トランプ氏を「憎しみの説教者」と断じて厳しく批判した。ドイツ日刊紙ベルリナー・モルゲンポスト(Berliner Morgenpost)はシュタインマイヤー氏について「反トランプの大統領」になりそうだと予想している。(c)AFP/Frank ZELLER