■選手育成の名人

 ファーガソン氏と同様に、ベリチックHCは選手の才能を最大限に引き出す人材育成の名人として評価されている。

 ペイトリオッツのスカウト担当者は、最近出版されたマイケル・ホリー(Michael Holley)氏の書籍「ベリチックとブレイディ(Belichick and Brady)」のなかで、「ビルは、どんな選手が自分の采配に適しているかだけでなく、その人間の思考を把握している。彼は個性を磨くことが得意だ。誰とでも仕事ができるし、手を差し伸べられる」と述べた。

 しかしながら、ファーガソン氏との最大の共通点は、人気選手であってもチームにとって不要であればためらわずに切り捨て、安定感を維持しながらチームを再建する能力だ。

 ベリチック政権下のペイトリオッツの成功にとって欠かせないスターQBのトム・ブレイディ(Tom Brady)は、ベリチックHCを際立たせているものは一貫性であるとして、「4月だろうが2月上旬だろうが、彼の態度は変わらない。われわれを導いて最高レベルでプレーするために、全力で指揮を執る努力をしている」と語った。

「彼が厳格な人物であることはたしかだ。その点でいえば、QBにとってコーチが厳しいのは素晴らしいことだ。自分はそうした態度を取る必要はないし、ほかの選手のように振る舞えばいい。僕はほかのみんなと同じようにどなられているよ」

 現時点で唯一の問題は、ベリチックHCがNFLにどれほど長くとどまるつもりがあるかということだ。ペイトリオッツのロバート・クラフト(Robert Kraft)オーナーは、ベリチックHCについて、「本人の好きなだけ」居場所を残しておけると話している。

 ベリチックHCは、これまで仕事への情熱が衰えていると公言したことはなく、「これを仕事とは考えていない。仕事を超えるものだ」と語っている。(c)AFP/Rob Woollard