【2月7日 AFP】フランス大統領選を今春に控え、有力候補のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首率いる極右政党の国民戦線(FN)が、北部の町エナンボーモン(Henin-Beaumont)をFN政権下の経済活性化のモデルケースとして売り込んでいる。炭鉱町だった同町では3年前に、国内初のFN出身首長が就任。以来、疲弊した地元経済の再建策を地道に進め、住民から「FNは公約を守る」との称賛を得ている。

 エナンボーモンはかつて炭鉱で栄え、今は集合住宅が立ち並ぶ。元々は社会党が強い地盤だったが、スキャンダルに見舞われ、2014年の統一地方選挙の第1回投票でFN初の首長としてスティーブ・ブリオワ(Steeve Briois)氏が当選を果たした。

 FNは地方選でこの他にも幾つかの勝利を収めている。移民排斥や欧州連合(EU)反対を掲げるFNが支持を拡大しているのが、エナンボーモンのように相次ぐ汚職や大量の失業によって主流派政党への反発が強まっている町だ。

 住民たちは、炭鉱夫の祖父を持ちFNの副党首も務めるブリオワ町長を今も熱烈に支持している。元スーパーマーケット従業員のエリザベート・ドベルテさんは言う。

「ここに住む多くの人と同じように、私もかつては左派だったけれど、(右派に)鞍替えしたの。こう公言しても恥ずかしいとは思わないわね。私たちは裏切られ、奪い取られたのよ。今の町長は、やると言ったことはやってくれる」

 1月29日に行われた町長主催の新年祝賀会には、ドベルテさんを含む1000人以上の人が出席。大統領の座をうかがうルペン党首も来賓に招かれた。

 ブリオワ町長はスピーチで、歩道の修理からクリスマスマーケットの開催まで、失業率が18%に達する町の経済再建に向けて実現した公約を一つずつ列挙。そのたびに喝采が起き、「ブラボー」という声が上がった。