【2月3日 AFP】「スポーツと政治を混同すべきではない」――全米で最高視聴率を誇るスポーツの一大イベントで、5日に開催される第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)を控える米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)では、これまでのところ誰もがその言葉を最大限に守っている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が前週、イスラム圏7か国出身者の入国禁止を命じたことを受け、政治的混乱がエスカレートしている米国では、各空港で全米規模の抗議デモが発生しており、大統領支持派と反対派が国を二分する事態に直面しているが、ニューイングランド・ペイトリオッツ(New England Patriots)とアトランタ・ファルコンズ(Atlanta Falcons)が優勝を争うスーパーボウルが行われるヒューストン(Houston)では、会見に臨んだ参加者のほとんどが政治的な質問をかわしていた。

 トランプ氏を友人の一人と述べ、政治関連の質問を何度も跳ね除けていたペイトリオッツのQBトム・ブレイディ(Tom Brady)は、2015年にトランプ大統領のスローガンである「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」と書かれたキャップをロッカールームの目につく場所に置いて物議を醸した。しかし、通算4度のスーパーボウル制覇を誇る39歳のブレイディは、先月30日の会見で政治的質問には応じず、「政治の話をするつもりはまったくない。ただ前向きに試合に集中し、それを邪魔されたくない」とコメントした。

 政治関連の話題を避けた理由について、ブレイディは米紙USAトゥデー(USA Today)に対し、チームの準備を妨げるようなことは取り除きたいからだと説明すると、「どちらか一方の味方をしたいとき、人はそうするものだ。それは全員の権利であり、誰もがそうする資格を持っている。自分にもその立場を維持する権利はある」と主張し、「今は自分のやるべきことに集中したい。チームにとって、自分にできることに全力を尽くしていく。チームの気が散るようなことや、マイナスになるようなことは持ち込みたくない」と述べた。

 ペイトリオッツのビル・ベリチック(Bill Belichick)ヘッドコーチ(HC)もまた、トランプ氏を友人と称しているが、今回の入国禁止令について聞かれた際にはノーコメントを貫き、「今はファルコンズ戦に集中している」と述べるにとどまった。

 ファルコンズのWRで、母親が1970年代に難民としてシエラレオネから逃れてきたイスラム教徒であるモハメド・サヌー(Mohamed Sanu)も、注目されることを拒否しており、「今は話すことが難しい。アメフトのことなら話すけど」とコメント。さらに、ファルコンズが優勝したらホワイトハウス(White House)への表敬訪問に参加するか問われると、「正直なところ、これまでそれについては考えていない。日曜日(5日)の試合だけを考えている」と答えた。

 NFLのロジャー・グッデル(Roger Goodell)コミッショナーも1日、今回の問題に関するリーグの立場について聞かれた際、トランプ大統領の入国禁止令について直接的にコメントすることを避け、「その話題については把握している。NFLのコミッショナーとして、今はスーパーボウルだけに集中している」と述べた。