【1月31日 AFP】米国への再定住が予定されていた難民100人超が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が命じた難民受け入れ凍結措置によって、タイの首都バンコク(Bangkok)で行き場を失っている。米国にいる母親と再会を果たす直前だった10代の少年も含まれているという。

 先週27日にトランプ氏が署名した米大統領令によって米国が突然、シリア難民の受け入れを無期限で、その他すべての難民の受け入れを120日間停止したことで世界中に混乱が広がり、大きな非難が巻き起こっている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の推計では、この期間に世界で計2万人以上が米国へ再定住する予定だった。

 タイは国境管理が緩く世界各地から難民が流入しやすいものの、法的に不法移民と難民を区別しておらず、亡命希望者が身柄拘束や強制送還の対象となりやすいため、亡命希望者は数年に及ぶ審査を経て第三国へ再定住することになる。

 UNHCRタイ支部のジェニファー・ボーズ(Jennifer Bose)氏は同日AFPに対し、今後120日間で「数百人が(タイから)米国へ向かうはずだった」と述べた。

 足止めをくらっている約100人の中に含まれている少年は、数週間以内に米国にいる母親や親戚と合流する予定だったが、現在は留置場にとどめられているという。ボーズ氏は少年の国籍について、トランプ氏が難民とは別途、米国への渡航者の入国を禁止したイスラム圏7か国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の一つだとだけ述べた。

 米国の再定住化プログラムは紛争や迫害を逃れてきた人々に保護を与えるものとして、長らく世界で最も寛容なプログラムだった。2015年の実績では、UNHCRが各国政府に受け入れを打診した人の64%の定住に貢献している。UNHCRは31日の声明で「今週だけでも800人以上が、米国で新たな家を築く予定だった」と述べた。

 UNHCRの声明は「この停止措置により、難民たちは不安と混乱、失望に駆られている」と表現し、トランプ大統領の動きの影響について、トップのフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は「深く懸念」していると述べた。(c)AFP