【1月31日 AFP】米国の子どもの約4人に1人は、学校で常態的ないじめに遭っているとの研究論文が30日、発表された。研究によると、こうしたいじめは学力低下や自信喪失につながる恐れがあるという。

 学術誌「Journal of Educational Psychology」に掲載された研究論文は、子ども383人を対象に行われた、幼稚園から高校までの追跡調査を基にしている。

 論文の主執筆者で米アリゾナ州立大学(Arizona State University)教授(心理学)のゲーリー・ラッド(Gary Ladd)氏によると、いじめに関して今回のような長期的研究が行われたのは初めてだという。

 研究は当初、米イリノイ(Illinois)州の学校に通う子どもを対象に行われていたが、約10年におよぶ年月の間に転居したケースも多く、調査期間終了時には、対象者の居住地は24州になっていた。

 論文は、いじめは年齢の高い子どもたちの間で顕著にみられるとする一般的な見方とは反対に、「小学校でより深刻で頻度も高く、大半は学年が上がるにつれて徐々にいじめをしなくなる」ことが明らかになったと指摘。しかし、「対象者の24%は調査期間中に常習的ないじめに遭っており、このことと低成績や学校での取り組み不足との間には明らかな関連性がみられた」としている。

 研究チームは、対象者へのアンケート調査を毎年実施した。アンケートでは、友人に叩かれた、からかわれた、言葉の暴力を受けたといった、いじめについての詳細な回答が求められた。他方で、教師による評価や標準的な読解・算数/数学テストの成績の分析も行われた。

 その結果、学校時代を通じて常態的ないじめを受けた子どもたちは、「低成績や学校嫌い、学力に対する自信の欠如がみられた」という。

 同様の結果は、中程度のいじめが徐々にエスカレートしていた子どもたちの間でもみられた。約18%の子どもがこのグループに属した。

 一方で、年齢が上がるにつれていじめを受けなくなっていった対象者には成績に関する問題がより少なかった。彼らは全体の26%を占めた。これは、いじめがやめば状況が回復する可能性を示唆している。

 常態的ないじめを受けている対象者の男女比では、男子の方が圧倒的に多かった。またいじめを経験したことがあまりない、あるいはまったくないと答えた子どもは、全体の32%だった。

 ラッド氏は、自分の子どもが苦しんでいたらなんらかの措置を講じるよう両親に強く呼びかけるとともに、すべての学校がいじめ対策プログラムを導入すべきと指摘している。(c)AFP