【1月30日 AFP】2014年に開催された第17回アジア競技大会(17th Asian GamesAsiad)のボクシング女子で、判定負けに抗議して涙を流しながらメダルの受け取りを拒否したインドのサリタ・デビ(Sarita Devi)が、29日にプロデビューを飾り、31歳でのデビュー戦を勝利で飾った。

 この試合に向けて、イベンダー・ホリフィールド(Evander Holyfield)らを育てた名伯楽のジョー・クラフ(Joe Clough)氏に師事したデビは、同国北東部マニプール(Manipur)州でゾフィア・ベド(Zsofia Bedo、ハンガリー)との5回戦に臨み、母国のファンの前で判定3-0の勝利を収めた。

 デビは試合後、「経験のある選手を倒せて、気持ちの良い勝利になりました。この10年の犠牲が報われた思いです」と喜んだ。

 インド最強の女性ボクサーを目指していたデビだが、その行く手を阻んだのがアジア大会だった。地元韓国の選手に判定で敗れて金メダルを逃したデビは、判定に抗議して銅メダル受け取りを拒否したことで、国際ボクシング協会(AIBA)から1年間の出場停止を科された。

 それでも、コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)の銀メダリストでもあるデビは歩みを止めず、現在は男子のビジェンデル・シン(Vijender Singh)とともに、国内で実績を積む道を模索している。シンは、プロ転向からすでに4試合をこなして全試合に勝利している。

 デビは、「アジア大会のことは本当につらかった。だけど、あの悲しい記憶を消し去らなくてはなりません。あれがプロ転向を決める大きなきっかけになりました」と話した。

 一方、プロ59戦の経験を持つベドは、また泣きべそをかかせてやると試合前にはデビを挑発していたが、リングの上では沈黙。応援する家族やファンの前で惨敗を喫した。(c)AFP