【1月27日 AFPBB News】若い世代にも銭湯に親しんでもらおうと、東京都台東区の銭湯「日の出湯(Hinode-yu)」で25日、参加者がワイヤレスヘッドホンで音楽を楽しむサイレントフェス「ダンス風呂屋」が開催された。照明が落とされ、湯を張る前の男湯と女湯それぞれの浴室がダンスフロアに様変わり。ヘッドホンから流れるDJの音楽に、20代から50代の参加者約40人が思い思いに体を揺らした。

「サイレントフェス」は、欧米を中心に1990年代ごろから人気を集め、騒音問題を解決する新しい音楽イベントとして広まっているという。専用のワイヤレスヘッドホンを装着し、一つの音楽を皆で共有するなか、「ある種の信頼関係が生まれる」と、2015年より国内でサイレントイベントをプロデュースしてきた雨宮優(Yuu Amemiya)さん(24)は言う。「僕らの世代は生まれたときからネットで世界とつながっているが、もっと手触りのあるつながり、人との緩やかな深いつながりを感じられる場が必要とされている」

 雨宮さんはこれまで、学校、電車、オフィス、画廊などさまざまな場所でイベントを企画してきたが、今回は、明治初期から続く銭湯「日の出湯」を会場に選んだ。その理由は、銭湯とライブハウスの類似性だという。「場が温まると、人がつながりやすくなる。銭湯はお湯を沸かし、ライブハウスは人を沸かす。温かくつながる効果を合わせて、銭湯の良さを若い世代にも体験してもらえれば」

 住宅地などの生活圏に密着する場では、騒音問題などから音楽イベントの開催は難しい。「銭湯で音楽イベント」という初めての試みに、当初は躊躇(ちゅうちょ)したという「日の出湯」の経営者、田村祐一(Yuichi Tamura)さん(36)。しかし、「無音」でできるイベントと知り、開催に踏み切った。実際に楽しむ参加者を見て、「激しいものを想像していたが、みんなゆったりと楽しんでいた。銭湯らしさは出ているのかなと感じる」と、安堵(あんど)の声を漏らした。

 初めてサイレントイベントに参加した若林正(Tadashi Wakabayashi)さん(43)も、「銭湯ならではだった。音楽がなっていても、気持ちがまったりできた」と満足げ。イベント後には、実際にゆっくりと入浴を楽しみ、汗を流すこともできるのも「ダンス風呂屋」の利点だ。

 反響はキャンセル待ちも出るほどで、今後の開催も前向きに検討していくという。(c)AFPBB News