【1月27日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は25日、不法移民を保護している全米各地の「サンクチュアリシティー(聖域都市)」に対し、米政府として断固とした措置を取ると明言した。

 聖域都市とは、不法移民を強制送還させようとする米連邦政府の入国管理当局への助力・協力を拒否している自治体のことで、都市のほか群や州なども含まれる。ニューヨーク(New York)やロサンゼルス(Los Angeles)をはじめ、全米には約300の聖域都市がある。

 聖域都市では一般的に、警察官が市民に接触し在留資格の有無を調べることを許可していない。また、入国管理局が連行してきた不法移民の収容や、不法滞在が疑われる移民を釈放期日を過ぎた後も拘束下に置くことを拒否している。

 全米には不法滞在している移民が推計1100万人いるとみられ、聖域都市の多くはトランプ氏の当選以降、こうした不法移民たちを必ず守ると表明している。

■聖域都市が直面している現実

 トランプ大統領が25日に署名した大統領令は、入国管理当局への協力を拒否する都市に対し、連邦補助金の交付を停止すると脅す内容だ。米CNNによれば、たとえばニューヨーク市は社会福祉などの事業に充当している補助金104億ドル(約1兆2000億円)を失うことになるという。

 こうした中、聖域都市の一つとして知られてきたフロリダ(Florida)州マイアミデード(Miami-Dade)郡のカルロス・ゴンザレス(Carlos Gimenez)郡長は27日、収容施設を管理する郡矯正局に対し、トランプ大統領の命令に従い「米国土安全保障省が要請する不法移民の拘禁要請は全て尊重」するよう指示した。

 一方、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ(San Francisco)の各市長は、大統領令を拒否し、移民を守ると改めて誓っている。

 ネバダ大学(University of Nevada)移民相談室(Immigration Clinic)のマイケル・ケーガン(Michael Kagan)室長は、合衆国憲法では州や市などの地方自治体に対し、連邦法の執行を拒否するあらゆる権利を認めていると説明している。(c)AFP