【1月27日 AFP】数々の巨大インスタレーション作品で世界的に知られるアーティストのクリスト(Christo)氏(81)が、米コロラド(Colorado)州のアーカンソー川(Arkansas River)の川面の上を約9.5キロにわたって銀色の布で覆うプロジェクトを中止すると発表した。理由はホワイトハウス(White House)の新しい「主人」だという。

 ブルガリア出身のクリスト氏はインターネット上に発表した声明で、「オーバー・ザ・リバー(Over The River)」と名付けられたこのプロジェクトの準備に20年、法的な議論に5年を費やしており、「もうこれ以上結論を待つことはしたくない」と述べた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が伝えたところによると、クリスト氏がこのプロジェクトを取りやめた背景には、現場となる土地が政府の所有地であり、そのトップにドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が就任したことがあるという。

 クリスト氏は1973年に米国の市民権を得ているが、ニューヨーク・タイムズに対して「私は共産主義国の出身だ」と語った。同氏はまた、自身の作品に自己資金を投じるのは「完全に自由の身でありたい」からであり、「この主人に利益をもたらすプロジェクトはできない」と述べている。(c)AFP