【1月25日 AFP】パキスタン南部シンド(Sindh)州で、州議会議員の女性が、同僚の男性議員から議事堂内で嫌がらせを受けたとして、焼身自殺を示唆して抗議する騒ぎがあった。その後女性議員は謝罪を受け入れたが、AFPに対し、女性を守る法律が機能していないことを示す一例だと批判している。

 シンド州のヌスラット・サハル・アッバシ(Nusrat Sahar Abbasi)州議会議員は、州の閣僚を務めるイムダド・ピタフィ(Imdad Pitafi)議員が20日、議事堂内の自室に招いたことについて怒りをあらわにした。保守的な国であるパキスタンでは、そうした行為は性的嫌がらせと捉えられている。

 アッバシ議員は強く抗議したが、同じ女性である州議会の副議長は対応策を講じることを拒否したという。

 怒りが収まらない同議員は21日、ガソリンを入れたと主張するボトルを持ちながら、対応策が講じられなければ焼身自殺すると脅し、その様子が写真に捉えられた。

 この出来事がソーシャルメディアで広く知れ渡ったため、党幹部が介入を余儀なくされ、ピタフィ議員は最終的には圧力に屈して議会で謝罪。敬意を示す証しとしてアッバシ議員に伝統衣装のチャドルを渡した。

 アッバシ議員は24日、AFPに対しもう「終わった」ことだと語ったが、今回のような性的嫌がらせから女性を守るための法律の実効性に疑問を投げかけるものだと批判した。

 同議員は、議員でさえ性差別と嫌がらせを受ける現状を踏まえ、法律が機能するのはいまだ「夢」だと述べた。(c)AFP