【1月25日 AFP】韓国の国会構内で開催された風刺画の展示会で24日、弾劾訴追された朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領が裸体をさらしているような作品に大統領の支持者が激怒し、作品を壁から引き剥がして破壊する騒ぎがあった。現地メディアが報じた。

 展示会は朴大統領と、大統領の親友で弾劾のきっかけとなった汚職スキャンダルの中心人物、崔順実(チェ・スンシル、Choi Soon-Sil)被告をテーマとしたもの。アーティスト22人が制作した風刺画が出展されていた。

 問題となったのは、19世紀フランスの画家エドゥアール・マネ(Edouard Manet)の有名な裸体画「オランピア(Olympia)」のパロディーとみられる作品。

 パリ(Paris)のオルセー美術館(Orsay Museum)に収蔵されているオリジナル作品では、娼婦と考えられている白人女性が一糸まとわぬ姿で横たわり、鑑賞者を見据えるような大胆な視線を向けている。その横で黒人の家事使用人が女性に花を差し出している。

 これに対して、作家のイ・グヨン(Lee Koo-Young)氏が手掛けた「汚い眠り」という作品では、朴大統領の容姿の一部をアジア人女性の裸体画と合成。裸婦は、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛(THAAD)ミサイル」の模型を胸に抱え、窓の外でセウォル(Sewol)号が沈んでいくなか、うたた寝をしている。

 朴大統領は昨年、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するためTHAADの国内配備で米政府と合意したが、中国の強い反発を招いた。400人近くが犠牲になった2014年のセウォル号沈没事故では、対応の不手際を批判されている。

 裸婦のももの上では2匹の子犬がたわむれ、家事使用人の顔は崔被告に差し替えられている。

 聯合(Yonhap)ニュースによると、朴大統領の支持者約20人が会場で暴れ回り、作品を壊した。警察は右翼団体の構成員(63)を逮捕し、別の1人の行方を追っているという。(c)AFP