【1月17日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相がクリスマス後の休暇を、富豪の慈善家で宗教指導者のアーガー・ハーン(Aga Khan)氏が所有する島で過ごしたことに関して、同国の倫理委員会が調査を開始した。

 倫理委員会のメアリー・ドーソン(Mary Dawson)委員長は16日に野党・保守党の議員らに送った書面で、トルドー首相がバハマ諸島で無料で休暇を過ごし、ハーン氏のヘリコプターで同氏が所有する島へ向かったことについて倫理規定上の違反に当たるかどうか調査していることを明かした。

 トルドー首相一家は他の自由党議員と同党幹部、さらに両者の配偶者とともに、バハマ諸島のベル島(Bell Island)にあるハーン氏の別荘で休暇を過ごしたという。

 イスラム教イスマイル派指導者のハーン氏の財団は数か国で開発促進や事業を手掛けており、そうした活動を推進するためにカナダ政府から数億ドルの助成金を受け取っており、カナダ国内でロビー団体として登録されている。

 カナダの利益相反法では公職者が贈答品を受け取ることは禁止されており、閣僚に無料の旅行を提供することは特に明確に禁止されている。

 保守党が先週、ドーソン委員長に申し立てを行った際にはトルドー首相は「個人的な家族旅行だった」と釈明し、またハーン氏についても一家の長年の友人だと説明した。

 ただし、連邦法に抵触したカナダの首相はこれまで一人もおらず、今回トルドー首相の行為が違反だと判断されても実質、見込まれるのは警告程度の処分だ。それよりも寛容さと道徳性を売りに15年に就任したトルドー氏にとっては、政治的な後遺症の方が痛手となりそうだ。(c)AFP