【1月17日 AFP】映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンド(James Bond)は14年前に禁煙したようだが、関係を持つ多くの女性たちから受動喫煙のリスクにさらされている──。公衆衛生の研究者らが17日、こんな警鐘を鳴らす論文を発表した。

 研究チームは、英国人スパイであるボンドの喫煙歴を調査し、ボンド「本人」と、ボンドに影響を受けたとみられる現実世界の人々に対するたばこのリスクを検証。その結果を英医学誌BMJ発行の専門誌「タバコ・コントロール(Tobacco Control)」に掲載された論文で示した。

 それによると、ボンドはたばこをやめたものの、喫煙する女性とベッドを共にすることでリスクにさらされ続けている。「ボンドは高いレベルの受動喫煙、特に性交後の相手のたばこの影響を受けている可能性がある」。論文はそう指摘し、女性がボンドの裸の胸の上に置かれた灰皿を使う場面もあると言及している。

 ただし、そのリスクは「彼の女性との関係がいつも短期間で終わる」ことにより、わずかに軽減されているとも付け加えている。

 研究によると、ボンドが最もたばこを吸っていたのは1960年代で、この年代に公開された6作品のうち5作品で喫煙していた。最後に吸ったのは、2002年公開の『007/ダイ・アナザー・デイ(Die Another Day)』だ。

 シリーズ中では、シガレット型小型ロケットなどたばこ関連の道具は徐々に減り、喫煙リスクに言及するシーンも出てきている。

 一方、ボンドが関係を持つ女性たちはたびたび喫煙し、最近では2012年の『007 スカイフォール(Skyfall)』でもそうだった。研究チームは、ボンドの喫煙歴は彼が任務を全うするのに必要な健康と相いれないと見受けられるが「彼に向けられる膨大な数の銃弾からして寿命は短いと考えられ、その点では合点がいく」と皮肉を込めて指摘している。

 研究チームは007シリーズについて「喫煙関連の場面は減少傾向にあるが、公衆衛生の観点からすればそれが存在し続けることは問題だ。作品の人気を考えればなおさらだ」と苦言を呈し、医療関係者は引き続き映画作品の中での喫煙を減らすよう訴える必要がありそうだと述べている。(c)AFP