【1月12日 AFP】長年にわたり疑われてきたストレスと心臓疾患の関係性について生物学的に説明できるとした研究論文が12日、英医学専門誌ランセット(Lancet)に発表された。

 論文によると、ストレスを処理する脳の部位である「へんとう体」 の活性化の度合いが高い人には、心臓疾患や脳卒中の高いリスクがみられるのだという。

 へんとう体は脳の奥に存在するアーモンド形の神経細胞の集まりで、恐怖、不安、喜びといった感情やストレスをつかさどる。研究者らは、骨髄の高活性化や動脈炎とも関連があり、このことから心臓疾患や脳卒中のリスクを高めることの説明がつくとしている。

 研究で集められたデータは、ストレスにさらされたへんとう体が、骨髄により多くの白血球をつくるよう信号を送り、その結果として、動脈の狭窄や炎症、心血管障害を引き起こす恐れがあることを示唆している。

 研究論文には、293人分の脳、骨髄、脾臓の活動、動脈炎などのPET(陽電子放出断層撮影)やCTスキャン画像が付された。患者に対しては、平均3.7年間の調査が行われ、その間に22人が心臓発作、心不全、脳卒中、動脈狭窄などの「心血管系イベント」を発症した。

 論文には、「へんとう体活性化の度合いが高い人は、度合いの低い人に比べ、心血管障害の発症した障害の二次的発症のリスクが高く、問題も早期に表れた」と記された。

 研究論文の主執筆者で米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のアハメド・タワコル(Ahmed Tawakol)氏は、ストレスと心血管疾患とがリンクしているとすると「ストレスの低減には、精神的な健康状態の改善に収まらないメリットがある可能性がある」と指摘した。(c)AFP