【1月9日 AFP】英ロンドン地下鉄(London Underground)で、雇用問題や切符売り場の閉鎖をめぐる対立により8日夜から始まったストライキで、9日には市内中心部のほとんどすべての駅が閉鎖され、多くの本数の運行が中止された。

 鉄道・海運・輸送労働組合(RMT)が24時間のストライキに入ると、数百万人の通勤客が混雑したバスや地上を走る鉄道の利用や在宅勤務を余儀なくされた。ロンドン地下鉄全11路線に影響が及び、うち4路線は完全に閉鎖、残りの多くの路線も運行を郊外だけに限るなど本数を大幅に減らした。

 ロンドンのサディク・カーン(Sadiq Khan)市長はツイッター(Twitter)への投稿で、今回のストライキは「まったく必要のない」もので「何百万人というロンドン市民を悲惨な目にあわせている」と記し、労使双方に協議の再開を求めた。しかしRMT側は、830人以上の人員削減により、駅を安全に運営するための職員が不足しており、そうしたサービスの「危機」に抗議していると主張している。

 ロンドン地下鉄では、路線網全体で切符売り場も閉鎖されつつあり、2014年以降、ストライキが繰り返し行われている。RMTのミック・キャッシュ(Mick Cash)書記長は「ストライキ行動はすべての路線、すべての駅で確固として支持されており、路線網全体にピケが張られている」「われわれがこうした行動を余儀なくされているのは、横暴な解雇により、治安と安全が強化されるべきこの時期にロンドン地下鉄は人手不足で、人命にかかわりかねない状況に陥っているからだ」と述べた。

 ロンドン地下鉄のスティーブ・グリフィス(Steve Griffiths)最高執行責任者(COO)は、駅職員の増員が必要な点は会社側も同意しているとして、200人の職員募集を開始したと明かした。同氏は「ストライキの必要はない。我々はすでに人員数を見直し、組合側と建設的な協議を始めている」と語った。さらに「現在の欠員と退職などによる補充を考慮すると、今年は職員として600人余りの募集をかけるだろう」と述べた。

 1863年創業のロンドン地下鉄は世界最古の地下鉄で、年間13億4000万人の乗客を輸送している。(c)AFP