【1月7日 AFP】3人の死に関わったとされ、飼育環境がシャチに与える影響に光を当てた2013年のドキュメンタリー映画『ブラックフィッシュ(Blackfish)』で一躍有名になったシャチのティリクム(Tilikum)が6日早朝、死んだ。36歳前後だった。ティリクムを飼育していた米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)のマリンパーク「シーワールド(SeaWorld)」が明らかにした。

 シーワールドでもトップクラスの知名度を誇っていたティリクムは2016年3月から細菌による肺感染症にかかっていた。シーワールドは死体を解剖して死因を公式発表する方針。

「ティリクム」は太平洋岸北西地区(Pacific Northwest)のチヌーク混成語(Chinook Jargon、先住民チヌーク族の言語とその他の言語が混ざった言語)で「ともだち」を意味する。

 体重は5トンと、飼育されているシャチで最大の個体だったティリクムは、3人の死に関わりがあるとされてきた。

 雄のティリクムはシーワールドで2010年、ショーの最中にシーワールドの調教師ドーン・ブランショー(Dawn Brancheau)さんのポニーテールをくわえ、水の中に引きずり込んで死亡させた。

 ティリー(Tilly)の愛称で知られるティリクムは、カナダのブリティッシュコロンビア(British Columbia)州のマリンパーク、シーランド(Sealand)で1991年、非常勤調教師の死に関与した。また、カナダからシーワールドに移された後の1999年に、シャチたちと一緒に泳ごうと閉園後に園内に忍び込んだ男性の死にも関わったとされる。

 動物愛護団体は、シャチたちが狭すぎる水槽で飼育され、不適切な餌を与えられ、ショーでのパフォーマンスを強いられていると批判。こうした世論の圧力を受け、シーワールドは2016年3月、シャチの繁殖を中止し、現在飼育している世代のシャチたちが死んだ後は一切シャチを飼育しない意向を表明していた。

 ティリクムの死により、シーワールドがオーランド、テキサス(Texas)州サンアントニオ(San Antonio)、カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)の3施設で飼育しているシャチは計22頭となった。(c)AFP