【1月6日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領が、米首都ワシントン(Washington D.C.)に新規開業した自身の高級ホテルへの出店を取りやめた著名シェフに対して1000万ドル(約11億5000万円)超の損害賠償を求めている裁判で5日、宣誓証言を行ったことが分かった。

 トランプ氏の事業全体を統括するトランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)の顧問弁護士が明らかにした。証言を行った場所は公表していないが、米政治サイト「ポリティコ(Politico)」によると、ニューヨーク(New York)のトランプタワー(Trump Tower)にあるトランプ氏の執務室で宣誓証言する様子を録画したという。

 ホワイトハウス(White House)の近くに昨年開業した高級ホテル「トランプ・インターナショナル・ホテル(Trump International Hotel)」へのレストラン出店計画撤回をめぐって高額の損害賠償を請求されているのは、スペイン出身の著名シェフ、ホセ・アンドレス(Jose Andres)氏。数々の受賞歴を持ち、ワシントンをはじめ全米各地にレストランを経営している。

 トランプ氏は2015年7月、出店契約を一方的に破棄したとしてアンドレス氏を提訴していた。

 一方のアンドレス氏は、出店計画を撤回した理由について、当時トランプ氏が大統領選への出馬表明演説でメキシコ人を「強姦魔」と評した発言を受けての判断だったと主張している。

 アンドレス氏は昨年12月、トランプ氏に「友好的な方法」で和解しようとツイッター(Twitter)上で持ち掛け、損害賠償として請求された金額を慈善活動に寄付する提案を行った。だが、トランプ・オーガニゼーションの顧問弁護士によれば、そのような和解案が成立する可能性はなさそうだ。この顧問弁護士は、「極めて単純な」契約違反をめぐる訴訟だと述べた。

 トランプ氏は、やはりトランプ・インターナショナル・ホテルへの出店を取りやめた著名シェフのジェフリー・ザカリアン(Geoffrey Zakarian)氏に対しても、同様の損害賠償訴訟を起こしている。(c)AFP