■新しい年に新たな挑戦

 とはいえ、常に今以上を求められ、結果が出なくなればあっという間に首を切られるのがレアルというクラブ。しかも2017年には、ここまでの一年よりも厳しい戦いが待っていることが予想される。

 昨季のレアルは、国王杯で出場資格のない選手をピッチに送り出し、早期に失格処分を受けた。これはクラブにとっては恥でしかなかったが、ジダン監督にとってはけがの功名という側面もあった。同大会がないおかげで、監督は就任からの1か月間を、1週間に1試合のペースでじっくり仕事に慣れることに費やせた。

 対して2017年は、仮に国王杯で準決勝まで勝ち進めば、年初からの11週間で21試合を戦うことになる。

 ジダン監督の今季の目標は、クラブ史上最高のシーズンの実現だ。具体的には、チャンピオンズリーグの名称が冠されてからの27年でいまだどのクラブも成し遂げていない欧州連覇を達成し、国内リーグでは、過去10年にわたって総じて後塵(こうじん)を拝してきたバルセロナを王座から追い落とすことだ。

 レアルは現在、リーグ戦では1試合消化が少ない状態でバルセロナに勝ち点5差をつけて首位を快走し、ナポリ(SSC Napoli)と対戦するチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でも、下馬評では圧倒的に優位とみられている。

 それでも、ここ2シーズンのレアルとバルセロナには、クラブW杯後に疲労から調子を落としてきた過去があり、その部分で、ジダン監督の指導者としての力量が試されるときが今後やってくる可能性は高い。

 復帰は4月ともいわれるギャレス・ベイル(Gareth Bale)をはじめ、けが人はすでに重なり始めており、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)は4日の国王杯セビージャ戦を欠場した。

 就任からここまでの12か月、目の前の試練を軽々と乗り越えてきたジダン監督。奇跡の手腕をこれからも見せ続けてくれるのか、それともこの1年がビギナーズラックだったのかは、2017年にはっきりする。(c)AFP/Kieran CANNING