【12月30日 AFP】英下院のダミアン・コリンズ(Damian Collins)議員は29日、2011年に元自転車選手のブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins、英国)氏に届けられた小包に合法の鼻炎薬のみが入っていたことを、英国自転車連盟(BC)が立証しきれていないと語った。

 元BCのパフォーマンス・ディレクターだったデイブ・ブレイルスフォード(Dave Brailsford)氏は先週、英文化・メディア・スポーツ委員会に対し、2011年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(Criterium du Dauphine)開催中にウィギンス氏に届けられた小包には、フルイムシル(Fuluimucil、鼻炎薬)が入っていたと証言していた。

 しかしながら同委員会で議長を務めるコリンズ議員は、BC側がブレイルスフォード氏の主張を裏付ける記録を提供できていないと語った。

 コリンズ議員は英BBCのラジオで、「何故発注されたのか、その小包の中に厳密に何が入っていたのかという正確な記録を手に入れることは難しいようだ」と語った。

「デイブ・ブレイルスフォードは委員会に対し、チームドクターからフルイムシルという薬だと聞かされたと言っていた。(フルイムシルは)フランスで市販されているもので、簡単に入手でき、使用上の制限も無い」

「それほど単純であるならば、何故フランスの薬局に行ってカウンター越しに買えるものを、BCのコーチはマンチェスター(Manchester)からロンドン(London)経由でジュネーブ(Geneva)へ運んだのか」

「そういった理由で多くの人がこのことについて奇妙だと口にしている。全く適切には思えない」

 28日に引退を表明したウィギンス氏が、3度の主要大会を前に禁止薬物のトリアムシノロン(triamcinolone、ステロイドの一種)の治療目的使用の適用措置(Therapeutic Use Exemption、TUE)を得ていたことが明らかになったあと、この小包に注目が集まっていた。

 ウィギンス氏やBC、そしてウィギンス氏が所属していたチームスカイ(Team Sky)は不正行為を否定しており、規則を破った兆候も見られていない。

 チームスカイで監督を務めるブレイルスフォード氏は同委員会に対し、BCのコーチであるサイモン・コープ(Simon Cope)氏が予定されていたフランスへの出張の際に小包を携えていたと語った。

 英南部からマンチェスターに向かい小包を手にしたコープ氏は、6月12日にジュネーブに飛び、陸路で仏フォンクベルトラトゥッスイール(Fontcouverte la Toussuire)に向かうと、その日のうちに英国へ戻った。

 英紙タイムズ(The Times)は、BCのボブ・ホーデン(Bob Howden)会長が同委員会に対し、英国反ドーピング機関(UKAD)の調査員によって「封鎖」されているため、資料を手に入れることができないと書簡で説明したと報じている。(c)AFP