【12月30日 AFP】フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)さん(73)は演技に励み、数々の賞を受賞する一方で社会運動に参加するなど多忙な生活を送っている。しかしそんなドヌーヴさんが気にも留めないことが一つある──年を重ねることだ。

 50年以上のキャリアを積んできた銀幕の女王は、今なお現役でいられることは幸せだと語る。米ハリウッド(Hollywood)に比べると、欧州では年齢を重ねた女優たちが差別に直面することは少ない。

 フランス植民地時代のベトナムを舞台にした1992年の映画『インドシナ(Indochine)』のデジタル版のリリース直前に訪れたハノイ(Hanoi)の高級ホテル「メトロポールホテル(Metropole Hotel)」でAFPの取材に応じたドヌーヴさんは、「年齢の話になると、米国ではとりわけ俳優や女優は非常に大きな困難に見舞われる」と話した。

「欧州ならやりやすいということではないが、欧州では40~50代の女性が主人公の映画を作ることが、より受け入れられている。米国ではまだめったにないことだけれど」と続けた。

 ドヌーヴさんはこれまで、故デヴィッド・ボウイ(David Bowie)さんの相手役でバイセクシャルの吸血鬼を演じた『ハンガー(The Hunger)』や、高級娼婦を演じた『昼顔(Belle de Jour)』などを含め、100本以上の映画に出演してきた。一定の年齢を超えた女優を脇役に回すことで悪名高いこの業界で、ジェンダーの境界を打ち破り続けているのだ。

 このことについてドヌーヴさんは、「できるだけ優雅に年を重ねる努力をして、自分自身のイメージにこだわり過ぎないようにしないといけない。イメージにとらわれると大きなプレッシャーになるし、俳優はそればかりを考えて深みにはまりやすいから」とコメントした。

 半世紀にわたり仕事を続けているドヌーヴさんだが、そのペースに陰りはみえない。近日公開予定の映画『Bonne Pomme(原題)』ではフランス出身の俳優ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)さんと共演。また最近ではフランスの映画賞「ルミエール賞(Lumiere Award)」に輝き、同賞を自国の農家の人々にささげている。