【12月23日 AFP】スペインで22日、賞金総額が23億ユーロ(約2800億円)というクリスマス恒例の宝くじ「エル・ゴルド(El Gordo)」(太っちょの意)の当せん番号が発表され、住民の約3人に1人が失業者という経済難にある小さな町が総額5600万ユーロ(約68億6000万円)の賞金を手にした。

 高額賞金が当たったのは、農業を主産業とする南部アンダルシア(Andalucia)自治州にある町ピノスプエンテ(Pinos Puente)。ピノスプエンテでは住民たちが路上に繰り出して歌い踊り、抱き合ったり、ワインをかけあったりして喜びを発散。その様子は公共放送TVEで放映された。

 賞金の大半は、共産党系政党連合「統一左翼(IU)」のピノスプエンテ支部が販売した宝くじ券がもたらしたもので、258枚が賞金額12万5000ユーロ(約1500万円)の2等に当せんした。

 失業率は29%と高く、年間予算はわずか800万ユーロ(約9億8000万円)という人口約1万3000人の町ピノスプエンテに、258枚の当せん券は3220万ユーロ(約39億円)もの賞金をもたらした。その他の当せん券は地元の宝くじ売り場や団体が販売したものだった。

 スペインでは、慈善団体や様々な組織などが、資金集めの手段として購入した国営宝くじの転売を行っている。

 統一左翼の地元議員、カルメン・カピージャ(Carmen Capilla)氏はAFPの電話取材に「宝くじ券は賞金をほんとうに必要としている低収入世帯の人々の手に渡った」と語った。また同町のホセ・エンリケ・メディナ(Jose Enrique Medina)町長も「賞金は広く配分された、本当に賞金を必要としている多くの家庭に行き渡った」と述べた。(c)AFP/Daniel SILVA