【12月23日 AFP】一連のドーピングスキャンダルで批判を集めているロシアは22日、バイアスロンのW杯とジュニア世界選手権(Biathlon Junior World Championships)の開催を断念した。国際スケート連盟(ISU)は同日、来年3月10日から12日にかけてチェリャビンスク(Chelyabinsk)で予定されていたスピードスケートのW杯開催権をロシアから剥奪している。

 これらの動きは、世界反ドーピング機関(WADA)が公表したカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書で、ロシア選手31人の疑惑が報告されたことが発端となっている。この報告書に衝撃を受けた国際オリンピック委員会(IOC)は、各競技連盟にロシアで大会を開催しないよう呼びかけていた。

 ロシアで大会が開催された場合、チェコと英国のバイアスロン連盟は大会ボイコットの意向を表明。ソチ冬季五輪のバイアスロンで金メダルを獲得したマルタン・フールカデ(Martin Fourcade、フランス)も先日、「1人や2人の話ではない。この数年間でバイアスロン界の違反者は12人から、さらに31人も増えた」と主張し、大会欠場を示唆していた。

 国際バイアスロン連合(IBU)は22日、ロシアが開催国の座を返上したことを公表。マクラーレン氏の報告書に名前のあったロシア人選手2人を出場停止処分とし、残り29人の調査を開始したと発表している。

 来年3月のW杯チュメニ(Tyumen)大会、オストロフ(Ostrov)で予定されていたジュニア世界選手権の開催を辞退したロシア・バイアスロン連合(RBU)は、疑惑やうわさに終止符が打たれることを望んでいるとコメント。「われわれは、W杯とジュニア世界選手権の開催地を決定する権利をIBUに委ねる。大会は祭りのようなにぎやかな雰囲気で開催されるべきであり、疑惑やうわさが渦巻く中で行われるべきではない」と述べた。

 ロシアのパベル・コロプコフ(Pavel Kolobkov)スポーツ相は、大会ボイコットのような行為は不公平だと主張。国営タス通信(TASS)に対し、「各国のアスリートによるプレッシャーやボイコットの脅迫をかけられた中で決定は下されるべきではない。スポーツは不公平な決定からかけ離れたものである必要がある」と語っている。

 ビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相も、フールカデをはじめとする選手に対して厳しい姿勢を示しており、「良識や五輪憲章に反している。ボイコットを表明したアスリートは罰せられるべきだ。(ボイコットは)間違いなく政治的な圧力だ」とコメントした。(c)AFP