【12月21日 AFP】ドイツの首都ベルリン(Berlin)のクリスマス市にトラックが突入し12人が死亡した事件から一夜明けた20日、市内の人気観光スポットを訪れた観光客らが、攻撃者らの思惑には屈しはしないとの断固とした決意を、落ち着かない様子ながらも示した。

 かつて東西ベルリン分断の象徴とされた人気観光スポット、ブランデンブルク門(Brandenburg Gate)では、近隣の大使館が前日の攻撃の犠牲者を悼み半旗を掲げていたが、その傍らでは「自分撮り(セルフィー)」に興じる観光客の姿が見られた。

 英ロンドン(London)から訪れたというデービッド(52)さんは、攻撃によって「自分たちの行動が制限されることはない」と述べ、「もはや誰も安全ではない。どこかへ行くのを止めることはできない。それでは彼らの思うつぼだ」と続けた。

 友人のニールさん(53)も、このような事件が当たり前のようになってしまったと述べ、攻撃で狙われたクリスマス市を目的に、今回ベルリンを訪れていたことを明らかにした。

 また、ポルトガル留学中という中国人女性のリリさん(23)は「安全の問題は少し心配ですが、これからクリスマス市に向かいます」とAFPに語った。中国から訪れた両親を連れて観光に来たのだという。

 ドイツおよび欧州各地のクリスマス市では、訪れる観光客の安全を確保するために、事件発生後すぐに厳重な警戒態勢が敷かれた。毎年この時期は、観光業界にとって書き入れ時だ。

 クリスマス市に店を構えている店主のゲジーネさんも、攻撃には屈しないとの決意をあらわにし、「(犠牲者への)連帯のために店を閉めることもできたが、逆にそれはまさしくテロリストが望んでいること。すべてをまひさせて皆を怖がらせることを」と述べた。

 ドイツのクリスマス市は世界的に有名で、2013年の業界調査によると、その数は1500か所にも上る。毎年、数千万人規模の訪問客が訪れるが、観光当局は19日の襲撃事件が及ぼす影響を測りかねている。

 ベルリンの観光当局によると、市内のホテルはいまもほぼ満杯でキャンセル多発といったこともみられないという。

 また、今後計画されているブランデンブルク門での新年を祝う盛大なイベントについては、予定通り開催するとベルリン当局は話している。(c)AFP/Marie Julien with Estelle Peard in Frankfurt