【12月20日 AFP】(写真追加)ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は20日、首都ベルリン(Berlin)で起きたトラック突入事件について、当局は亡命希望者とみられる人物によって実行された「テロ行為」とみていると語った。

 黒い服を着用し、明らかに動揺した様子で報道陣に答えた同首相は「分かっていることから判断すれば、これはテロ攻撃とみなすべきだ。この攻撃を実行した人物が、ドイツに保護と亡命を求めていたことが確認されれば、わが国にとってとりわけつらいことだと承知している」と語った。

 また、人混みにトラックを突入させ12人を殺害し拘束された容疑者が亡命希望者だったことが確認されれば「日々、難民支援に関わっている多くのドイツ国民にとってとりわけ、いまいましいこととなろう。また日々、われわれの保護を必要としている多くの人々、わが国に溶け込もうとしている人々にとっても苦しいことだろう」と述べた。

 メルケル氏は、個人として「恐怖と衝撃を覚え、深く悲しんでいる」と述べ、20日のうちにトマス・デメジエール(Thomas de Maiziere)内相、ベルリンのミヒャエル・ミュラー(Michael Mueller)市長とともに現場を訪れる意向を明らかにした。

 一方、デメジエール内相は同日、トラックを突入させたとされる容疑者はパキスタン人で、2015年12月31日にドイツへ到着し、亡命を希望していたと語った。また、攻撃への関与を否定しているという。

 難民受け入れについて賛否が分かれているドイツには、昨年一年間で89万人の亡命希望者が入国。受け入れ批判派からは、難民流入は治安に対する深刻な脅威となるとの声が上がる中、今年はさらに30万人が到着している。

 亡命者受け入れに積極的な政策にもかかわらずメルケル首相の支持率は依然高いが、来年9月の実施が見込まれる総選挙を前に、右派ポピュリスト政党の「ドイツのための選択肢(Alternative for GermanyAfD)」に支持者の一部を侵食されている。(c)AFP