【12月19日 AFP】キューバの反体制派団体は18日、当局がフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長の死去後初となる反体制派の一斉摘発を行い、数十人を逮捕したことを明らかにした。首都ハバナ(Havana)で予定されていた抗議デモも阻止され、米国人の人権派弁護士も一時身柄を拘束されたという。

 ラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長が、北南米で唯一の一党独裁体制に対する異論は受け入れないという姿勢を示したものとみられる。

 反体制派団体「キューバ愛国同盟(Unpacu)」のホセ・ダニエル・フェレル(Jose Daniel Ferrer)委員長は、AFPの電話取材に対し、同国東部のサンティアゴ(Santiago)とパルマ・ソリアーノ(Palma Soriano)で「午前6時(日本時間同日午後8時)に一斉摘発が始まり、住宅4棟が捜索を受け、42人が逮捕されたと報告を受けた。サンティアゴで20人、パルマ(Palma)で12人、ハバナで10人だ」と語った。

 東部やハバナでは、政治犯の釈放を求めて実施予定だったデモが阻止された。フェレル氏もサンティアゴで警察に一時身柄を拘束されたが、その際に警官らから脅しを受け、デモについて「騒乱と不服従とスパイ行為を助長した」と言われたという。

 また、米国人の人権派弁護士キンバリー・モトリー(Kimberley Motley)氏は、グラフィティ(落書き)アーティストで現在収監中のダニーロ・マルドナド(Danilo Maldonado)氏を刑務所に訪問する予定だったが、同行するキューバ人活動家2人と共に16日、当局に身柄を一時拘束された。

 親類の話によるとマルドナド氏は、カストロ前国家評議会議長が死去した翌11月26日、ハバナ市内の壁にペンキで「彼は死んだ」と書き、逮捕されたという。(c)AFP