【12月17日 AFP】サッカー界の大手投資ファンドグループの一つであるドイエン・スポーツ(Doyen Sports)が、売春をはじめキックバックや脱税に関与していることが16日、サッカー情報公開ウェブサイト「フットボール・リークス(Football Leaks)」のリポートで明らかになった。

 ドイエン・スポーツは、1990年代に旧ソ連が崩壊したあと、化学産業を元手に金融帝国を立ち上げたカザフスタン系トルコ人のアリフ(Arif)一族が所有するグループ企業として知られている。

 仏ニュースサイト「メディアパルト(Mediapart)」が報じた同サイトの報告書によれば、アリフ一族の兄弟4人は事業利益でサッカー界に7500万ユーロ(約92億円)を投資。一族の資産は、タックスヘイブン(租税回避地)のパナマをはじめ、マン島(Isle of Man)やオランダ、マルタ、英領バージン諸島(Virgin Islands)に預金されているという。

 メディアパルトはさらに、イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)に所属するジェフリー・コンドグビア(Geoffrey Kondogbia)をスペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)へ移籍させるために売春婦を提供した疑惑が持たれているドイエン社の関係者が、メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」でやりとりしていた内容も伝えている。

 レアルのフロレンティノ・ペレス(Florentino Perez)会長は、2013年に売春行為が行われていたとされる米マイアミ(Miami)でのパーティーに出席していたことを否定している。

 フランス出身のコンドグビアは、セビージャFC(Sevilla FC)やASモナコ(AS Monaco)を経て、現在はインテルでプレーしている。

 フットボール・リークスの情報ではまた、ドイエン・スポーツがタックスヘイブンに送金した少なくとも1080万ユーロ(約13億円)について、コンドグビアやコロンビア代表のスター選手、ラダメル・ファルカオ・ガルシア(Radamel Falcao Garcia)の移籍をスムーズにしたキックバックによるものである可能性が高いとされている。

 欧州12の新聞社による調査団体のフットボール・リークスは、スポーツ界の底辺に属する闇の部分を暴くために組織され、最近ではレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)とイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)で指揮を執るジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督の脱税疑惑を指摘した。しかし、両者は疑惑を否定している。(c)AFP