【12月17日 AFP】(写真追加)米国防総省は16日、周辺国の間で領有権をめぐる係争が続く南シナ海(South China Sea)の国際水域で、米海軍の無人潜水機が中国に「違法に」奪取されたと発表した。同海域における中国の軍事力増強をめぐる緊張が高まることは必至だ。

 同省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道官によると、同機はフィリピンのスービック(Subic)湾からおよそ50カイリ(約90キロ)沖で中国に奪われた。

 奪取されたのは、同水域で水温や塩分濃度、透明度の情報を定期的に収集していた「ネーバル・グライダー」と呼ばれる無人潜水機2機のうちの1つ。民間の乗組員が運用する米海軍艇ボウディッチ(USNS Bowditch)号が両機の回収作業に当たっていたところ、中国の潜水艦救難艦が同号から500ヤード(約460メートル)以内に接近し、うち1機を奪取。もう1機は、ボウディッチ号によって無事回収された。

 デービス報道官は、過去にこのような出来事が発生したことは記憶にないと説明。米国防総省は中国政府に対する声明で、「違法に奪取された」潜水機を「直ちに」返還するよう要求したという。(c)AFP