【12月16日 AFP】欧州の衛星測位システム「ガリレオ(Galileo)」が15日、運用を開始した。17年前の開発を始めて以来、数々の失敗や費用が当初予算の3倍に膨らむという困難を乗り越えて運用開始にこぎ着けた。性能で競争相手をしのぐ欧州独自のシステム確保に期待の声が上がっている。

 初期運用では、ガリレオ準拠のマイクロチップを搭載したスマートフォンやナビゲーションユニットであれば世界中で利用できる。欧州委員会(European Commission)によると、一部の端末ではソフトウェアをアップデートするだけでガリレオを利用できるという。

 欧州委員会はこのプロジェクトに約100億ユーロ(約1兆2000億円)の資金を出した。ガリレオはこれまでに18基の衛星が打ち上げられている。

 初期段階では米国が運用する全地球測位システム(GPS)の衛星の支援を受ける必要があるため断続的な信号になる。しかし、今後も地球から2万3222キロメートル離れた軌道上に衛星が加えられていくうちに、信頼性と独立性が高い測位システムに成長していくとみられる。

 欧州委員会と欧州宇宙機関(ESA)によれば、ガリレオは2020年までに完全な運用体制となる見込みだという。

 位置情報の精度はGPSやロシアのグロナス(GLONASS)は数メートルだが、ガリレオの無料のオープン・サービス(Open Service)では1メートルとなっており、有料サービスでは数センチとなる予定。(c)AFP/Alex Pigman with Mariette le Roux in Paris