【12月14日 AFP】イスラエルで9日、崖から落ちる息子を助けようと自ら身を投げ出した父親が死亡する事故が発生した。息子も搬送先の病院で死亡し、イスラエルに深い悲しみが広がっている。

 レバノンの近代史が専門の大学教授、オムリ・ニル(Omri Nir)さん(50)は息子のイライ(Ilai Nir)君(10)と一緒に、死海(Dead Sea)近くのユダヤ砂漠(Judean Desert)にある急勾配の渓谷でグループハイキングに参加していた。

 しかし岩に打ち付けられた取っ手を握りながら勾配を下りている時に、イライ君がニルさんの頭上に落ちてきたという。ニルさんはイライ君を支えるのは無理だと判断し、一緒に崖から落ちてクッションの役割を果たそうとしたとイスラエルのメディアは報道している。

 同じグループにいた医師が救命を試みたがニルさんは死亡した。イライ君は半ば意識不明の状態で、ヘリコプターで南部ベエルシェバ(Beersheba)にある病院に搬送されたが11日に死亡した。

 テルアビブ(Tel Aviv)の北にあるクファルビトキン(Kfar Vitkin)で行われた葬儀には1000人以上が参列したと報じられている。遺族はイライ君の心臓やその他の重要な臓器を子ども4人に提供することを決めた。(c)AFP