【12月14日 AFP】フランス・パリ(Paris)の競売会社タジャン(Tajan)は13日、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の手になる新たなデッサンが見つかったと発表した。国内の地方在住の医師から持ち込まれた作品の裏に描かれていたもので、専門家が真正と認定した。1500万ユーロ(約18億円)相当の価値があるとみられ、タジャンは「並外れた発見」としている。

 デッサンでは聖セバスティアヌス(Saint Sebastian)が羽根ペンで官能的に描かれている。ダビンチが同性愛の嫌疑について放免となった後、20代後半から30代前半に描いた8作品の一つと考えられている。

 鑑定に当たった専門家の一人、パトリック・ドベゼール(Patrick de Bayser)氏はAFPの取材に、スケッチは、鑑定のためタジャンに送られてくる作品を通常の作業としてチェックしているときに偶然見つけたと語った。

 当初は15世紀フィレンツェ(Florence)の画家の作品ではないかと思ったが、破れた紙を裏返してみて驚いたという。そこには、ろうそくの影が関わる光学実験のスケッチが複数描かれていた上、ダビンチが頻繁に書いていたとされる見事な鏡文字も記されていたからだ。

 さらに、このデッサンの線が右から左へと走っていることにも気付いた。これはダビンチのような左利きの芸術家が描いたということだと考え、「レオナルドが手掛けたものだとすぐに確信した」。(ドベゼール氏)

 タジャンによれば、このデッサンについては同氏のほかに、米ニューヨーク(New York)にあるメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)のルネサンス絵画の学芸員もダビンチの真正作と太鼓判を押している。(c)AFP