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フィリピンの麻薬撲滅戦争、「最前線」で心痛める葬儀業者

2016年12月16日 11:24 発信地:マニラ/フィリピン

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フィリピンの麻薬撲滅戦争、「最前線」で心痛める葬儀業者
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フィリピン・マニラで、正体不明の武装集団に身内を射殺され、悲しむコナ・バリーナさん(2016年10月30日撮影)。(c)AFP/Noel CELIS

【12月16日 AFP】フィリピンでロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏が大統領に就任してからの5か月というもの、首都マニラ(Manila)の葬儀場で働くアレハンドロ・オルメネタ(Alejandro Ormeneta)さん(47)は苛烈(かれつ)な麻薬撲滅戦争を最前線で目の当たりにし、かつてないほど多忙を極めている。そんなオルメネタさんだが、殺人は終わりにしてほしいと痛切に願っている。

 オルメネタさんと同僚たちは毎晩のように平均5人の遺体を収容している。その多くがスラム街からだ。この背筋が寒くなるような仕事が日常化して以来、ドゥテルテ大統領が推進する犯罪撲滅運動の下で警察部隊らが野放図に残虐行為に走っていることにオルメネタさんは疑問を感じるようになった。「こんなことがあってはならない。彼ら(殺された人たち)は動物ではない。人間なんです」

■頭部にくぎを打たれた遺体

 オルメネタさんはAFPの取材に、麻薬密売人とみられる男性の遺体を扱ったときのことを話した。その遺体は頭蓋骨に3本のくぎが打ち込まれていた。「くぎを打ち込まれたとき、その男性はまだ生きていたと思います。彼らはまず男性を縛り上げ、頭の周りにテープを巻いてからくぎを打ち込んだのでしょう。相当の激痛だったはずです。気の毒でなりませんよ」

 4人の子を持つオルメネタさんは葬儀の仕事に携わって18年になるが、最近の典型的な夜の日課はこういった具合だ。スラム街の狭い路地を歩いて掘っ立て小屋に向かう。そこには覆面集団に射殺された男性の遺体がある。遺体からはまだアルコール臭がする。男性は殺害される直前まで酒を飲んでいたらしい。血まみれのコンクリートの床に横たわった遺体を警官があおむけにすると、頭部と体に複数の弾痕があらわになり、被害者男性の姉が泣き崩れた。

 後に警察はAFPに、殺害されたダニロ・ボランテさん(47)は「シャブ」と呼ばれる安価な覚醒剤「クリスタル・メス」の売人だったと語った。ドゥテルテ大統領は社会を荒廃させる元凶だとしてシャブの根絶を宣言している。

 だがボランテさんの姉、コナ・バリーナさんはボランテさんは薬物と手を切っていたと主張する。しかも、ドゥテルテ大統領が主導する麻薬撲滅作戦の一環で麻薬密売人や常用者に出頭を促す試み、通称「トックハン(Tokhang)」の影響でボランテさんは警察に自首していたという。

「すでに更生しようとしている人間がこんな仕打ちを受けるなら、トックハンに何の意味があるの?」とバリーナさんは嘆いた。


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