【12月12日 AFP】ボクシング、IBF世界ヘビー級王者のアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua、英国)は、来年4月29日に英ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われるウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)との「英国ボクシング史上最大の一戦」について、試合の大きさに飲み込まれることはないと語った。

 10日に行われた2度目のタイトル防衛戦で、挑戦者エリック・モリナ(Eric Molina、米国)と対戦したジョシュアは、顎に強烈な右を浴びせて相手を倒し、3回TKO勝ちを収めた。そして試合直後のリング上では、27歳のジョシュアが次のタイトル防衛戦で、クリチコと対戦することがアナウンスされた。

 クリチコは、1年前のタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)戦に敗れるまで、IBF・WBA・WBOのヘビー級王者として9年間君臨していた。ジョシュアとの対戦ではWBAのタイトルも争われることが見込まれている。

 プロモーターのエディー・ハーン(Eddie Hearn)氏は、観客動員数が史上最多の9万人に上ると期待を寄せており、2012年ロンドン五輪で金メダルを手にしたジョシュアも、試合後の記者会見で「熱狂に包まれることは間違いない」とコメントした。

「モリナとの試合に集中しようと心掛けていたが、今夜ここでクリチコと会って現実味を増した。観客が9万人だろうが9人だろうが関係ない。いつも通りに試合に臨み、勝つだけだ」

「クリチコ戦では最終12ラウンドまで持ち込み、相手のミスを誘って追い詰めるつもりだ。ノックアウトできたら、誰にも不可能だったことをやり遂げたと言ってやる。だけど、2ラウンドでクリチコをノックアウトしてみせるなんて、言うつもりはない。これは自分にとって次のステップを踏むための絶好の機会であり、ボクシング界のレジェンドとの自分のベルトを賭けた戦いだ」

■次のレベルへ

 通算戦績を18勝無敗としてその全試合でKO勝ちを収めているジョシュアは、駆け出しのころスパーリングの相手を務めていたクリチコとの試合を、キャリアの集大成にするつもりはなく、「これも一つの試合にすぎない。名声を手にして逃げることはできない。クリチコを倒したら、次はデビッド・ヘイ(David Haye、英国)やルイス・オルティス(Luis Ortiz、キューバ)を倒せと言われることになるだろう。クリチコを倒すなら、次のレベルに行く必要がある」と語った。

 ジョシュアはまた、来年3月で41歳になるクリチコついて、自分よりも大舞台の経験が豊富で、年齢的な問題に加えて17か月間も実践から遠ざかっている状態で試合に臨むことになるとはいえ、今でも危険な存在であるという認識を示しており、「クリチコのような相手とは戦ったことがなく、自分にとっても興味津々だ」と語った。

「彼は手ごわい相手であることは間違いない。バーナード・ホプキンス(Bernard Hopkins、米国)を見るといい。彼は来月で52歳になるが、来週末には試合が控えていて、君たちも記事にしないわけにはいかないだろ。生活費を稼ぐための良いネタだからな」

「リスクと報酬のせめぎ合いだ。テーブルの上に同じ額の札束が乗せられていたら、俺を対戦相手に指名しようとするやつなんていない。金を取るか、タイトルを取るかだ。彼がやるべき仕事はリングに上がり、何としても勝つことだ。彼が金を必要としているとは思わないが、小銭稼ぎは誰にでも必要だ。彼はどれくらいやれるかな?これが最後の晴れ舞台だろ」 (c)AFP