【12月11日 AFP】(更新、写真追加)イエメン南部の都市アデン(Aden)の兵営で10日、自爆攻撃があり、兵士48人が死亡、29人が負傷した。地元保健当局がAFPに明らかにした。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。

 軍当局によると、国際空港に近いアルサウラバン(Al-Sawlaban)にある兵営で給与を受け取るため数百人の兵士が集まってたところに爆弾ベルトを装着した自爆犯が近づき自爆したという。

 IS系通信社アマック(Amaq)は、「アデンのアルサウラバン兵営で、イエメン軍兵士が集合中にISの殉教者が自爆ベルトを爆発させた」と報じた。

 イエメン当局はこの数か月、同国南部と東部で活動を続けるISの掃討作戦を行っている。

 IS、およびISとライバル関係にある国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)は、イエメン政府と、首都サヌア(Sanaa)を掌握する反政府武装勢力フーシ派(Huthis)の間の内戦の混乱に乗じ、イエメン南部での勢力拡大を狙っている。

 国際的に認知されたイエメン政府が昨年フーシ派から奪還して拠点としている同国第2の都市アデンでは、ISとアルカイダによる攻撃が多く発生している。

 石油資源が豊富なサウジアラビアの隣国で、主要な海運航路にも近いイエメンの過激派組織の間ではこれまではアルカイダが支配的な勢力を持っていた。しかし専門家によると現在はISがアルカイダに取って代わろうとしているという。

 今年8月には、アデンの新兵採用施設にIS戦闘員が運転する爆弾を積んだ車が突入して71人が死亡し、過去1年余りの間に同国で発生した過激派による攻撃としては最悪の被害者を出した。

 イエメン当局は今月5日、アデンの治安当局者を標的とした数々の攻撃を今年実行した容疑でIS戦闘員8人を逮捕していた。(c)AFP