【12月10日 AFP】米アラバマ(Alabama)州で死刑を執行された死刑囚が、せきをしたりあえいだりして13分にわたって苦しんだことが立会人の話で明らかになった。これを受け、死刑執行に使われる薬物注射の有効性に関する議論が再燃している。

 ロナルド・スミス(Ronald Smith)死刑囚(45)は、1994年に犯したコンビニ店員殺害の罪で死刑判決を受けていた。

 死刑に立ち会ったメディアの一つAL.comのケント・フォーク(Kent Faulk)記者によると、スミス死刑囚の刑は8日夜、34分かけて執行された。その間スミス死刑囚は息をしようとしてもがいているように見えたという。

 アラバマ州矯正局のジェファーソン・ダン(Jefferson Dunn)局長によると、死刑執行の手順に何らかの不備がなかったかどうかを調べるため検死を行う予定だという。

 米国の死刑制度が存続している州では薬殺刑用の薬物が不足している。その一因として、一部の製薬会社が死刑執行用の薬物の提供を拒んでいることが挙げられ、こうした会社のほとんどは死刑制度が廃止された欧州に本拠を置いている。

 こうした薬物の不足に対処するため、アラバマ州をはじめとする一部の州は1つ目の薬物で死刑囚を眠らせ、2つ目でまひさせ、3つ目で心臓を止めるという3種の薬物を使う方法を採用している。

 アラバマ州は1つめの薬物として催眠鎮静剤のミダゾラム(Midazolam)を使用しているが、ミダゾラムを投与しても2つ目、3つ目の薬物が投与される前に深い無意識状態に入らないとの批判もある。(c)AFP