【12月9日 AFP】米国のビベック・マーシー(Vivek Murthy)医務総監は8日、電子たばこの使用が米国の若者の間で爆発的に増加しており、今や「重大な公衆衛生上の懸念」となっていると警鐘を鳴らした。

 電子たばこは、ニコチンを含む液体を加熱し、蒸気を吸引する電池式機器で、新しい世代の喫煙者が依存症に陥っていると懸念する専門家もいる。米国の高校生の約6人に1人が、最近1か月以内に電子たばこを使用したと答えている。

 マーシー医務総監は、8日に公表された報告書の序文で「近年は電子たばこの使用が大幅に増加しており、高校生の間では、2011年から2015年で900%という驚異的な増加率を示した」と述べた。「電子たばこ製品は今や、米国の若者の間で最も広く使用されている形態のたばことなっており、紙巻きたばこ、葉巻、かみたばこ、水たばこなどを含む従来型のたばこ製品をしのいでいる」

 マーシー医務総監は、電子たばこの危険性の一つとしてニコチンを挙げており、ニコチンが「依存症を引き起こし、発達途上にある若者の脳に害を及ぼす恐れがある」としている。

 専門家150人以上が執筆と査読を行った今回の報告書によると、若者にとって、ニコチンの使用はいかなる種類のものであっても安全ではないという。

 また、電子たばこの使用者が大気中に吐き出す副流エアロゾル(気体中に液体や固体の微粒子が分散しているもの)によって、他の人が有害な化学物質にさらされる可能性もあると、報告書は指摘している。

 マーシー医務総監は、「電子たばこから放出される毒性物質は燃焼型のたばこ製品に比べて量的に少ないとはいえ、電子たばこのエアロゾルが無害ではないことは既に分かっている」と述べた。

 マーシー医務総監は、連邦規制の強化、販売の最低年齢引き上げとその厳格な実施、マスメディアによる電子たばこの害に関する国民啓発活動の実施などを強く求めている。