【12月8日 AFP】(訂正)グリーンランドを覆う氷床が過去140万年の間に少なくとも1度、融解していたとする研究結果が7日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表され、人為的な要因による気候変動が危険なレベルの海面上昇を招く可能性があるとの懸念が浮上した。

 厚さ3キロ以上の氷床の下を掘削して採取された基盤岩のサンプルにより、それほど遠くない過去にグリーンランドには氷床がなく、地表が直接、大気にさらされていた期間があったことが初めて明らかになった。研究者らによるとその期間はおよそ28万年と推測されるという。

 米コロンビア大学(Columbia University)の古気候学者で、研究結果をまとめた論文の主執筆者であるヨルグ・シェイファー(Joerg Schaefer)氏は「残念なことに、研究の結果からグリーンランドの氷床はかなり不安定だということになる」と述べている。

 フランス、スペイン、ドイツを合わせたよりも広い面積を覆うグリーンランドの氷床は北半球最大で、その厚さは数キロあり、全体が融解した場合、海面を約7メートル上昇させるほどの水量があるとされている。

 1990年代に比べてグリーンランドの氷が失われる割合は2倍になっており、過去の研究によると、4年間で1兆トン以上の氷が失われたという。(c)AFP/Marlowe HOOD