【12月5日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領が台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統と行った電話会談について、マイク・ペンス(Mike Pence)次期副大統領は4日、ただの「儀礼的な電話」だとの認識を示した。米国が数十年にわたって維持してきた外交慣例を破った異例の電話会談をめぐっては、批判が相次ぐ一方、共和党内からは評価する声も上がっている。

 ペンス氏は米ABCテレビの日曜報道番組「ディス・ウイーク(This Week)」で、「民主的に選ばれた指導者からの儀礼的な電話に応じただけに過ぎない」と説明。「(トランプ氏は)電話を受けて、(蔡総統から)祝意を伝えられた。それだけだ」と述べた。

 米国は1979年に台湾との国交を断絶し、台湾を国土の一部と主張する中国政府の「一つの中国」を認める政策を取ってきた。台湾とは非公式に友好関係を維持しているものの、国交断絶後は米大統領や次期大統領が台湾首脳と直接接触することはなかったとされる。

 トランプ氏は電話会談について明かしたツイッター(Twitter)への書き込みで蔡氏を「台湾の総統」と呼んだが、中国政府はこうした呼び方も含め、台湾の独立を支持するとみなせるあらゆる行為に反発しており、電話会談は中国との間に深刻な亀裂を招く恐れがある。

 しかし、共和党の大統領候補指名争いでトランプ氏と争ったテキサス州(Texas)選出のテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員は、「キューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長やイランのハサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領より、蔡総統と会談する方がずっと良い」とツイッターに投稿。「これは進歩だ」と主張した。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米大統領の元でホワイトハウス報道官を務めたアリ・フライシャー(Ari Fleischer)氏も、蔡氏の電話を受けたのは悪い考えではなかったと指摘。「中国が米国に対して攻撃的な態度を強めているのは、わが国が何もしないと知っているからだ」「トランプ氏が押し返しても気にしない」などと、やはりツイッター上で表明した。

 共和党のアーカンソー州(Arkansas)選出のトム・コットン(Tom Cotton)上院議員も、「トランプ次期大統領が蔡総統と言葉を交わしたことを高く評価する。中国の国土における唯一の民主社会にわが国が深く関与していることを再確認した」と述べた。(c)AFP